2016.03.31 アニメ ゲーム 漫画 パチンコ メディアミックスはもう古い?ヒットコンテンツの鍵はIPビジネス
メディアミックスはもう古い
漫画原作・ラノベ原作のアニメ化・ゲーム化は、ヒットコンテンツの条件で有り、漫画家だったらアニメ化は一つの成功の基準です。アニメ化を経てゲームにまでなれば「人気の作品なんだ」という認識が社会的に顕在化します。このように原作ものを横展開し、新たな顧客層を得て新しい展開をし販促活動を広めることをメディアミックスといいます。日本の最初のメディアミックスは1973年に発表された小松左京の小説『日本沈没』です。映画、テレビドラマ、ラジオドラマ、漫画と、小説発売と同時に各メディアで展開されたことが話題を呼びました。この記事を見ている人は2006年に草彅剛主演で映画化された方の方がなじみがあるかも知れませんが、少なくとも十数年越しにリメイク制作されるほどに当時話題を呼んだと言うことです。アニメゲーム系のメディアミックスでの代表的な成功作は『スレイヤーズ』で、これはラノベ原作でしたが、同時にアニメ、漫画、映画、イベント、ゲームをほぼ同時進行させて各メディアで新情報を供給し続け長期的な人気を得たという事例があります。その後はアニメ業界で本格的に製作委員会方式が採られるように成り、アニメを軸に各業界各出資者がリスク分散と利益の分配のために各自社メディアでも宣伝するようになり結果的にメディアミックスの形になっていくという状況に移行してきました。
メディアミックスの問題点
うまくいけば利益が分配でき、万が一うまくいかなくてもリスクが分散できる製作委員会方式は瞬く間にアニメ業界に広がりました。しかし、一定の広がりを見せたものが次に直面する問題は、一般化です。最初こそアニメのリスク分配をしつつ横に広げて露出を増やせるメリットがフォーカスされていましたが、その露出を増やした作品自体が多くなっていくと、いつしかそれは当たり前の物になってしまいます。1点ものしかない集合の中に、たくさんのメディア展開を持っている1つが入ることによってそれが目立ってはじめて効果を現すものにも関わらず、全ての作品が各メディアで宣伝を始めてしまうと、今度は更なる展開をしていかなければ埋もれてしまうという状況に陥ってしまいます。
アニメ化、ゲーム化、漫画化だけでは足りないと感じた製作委員会では、グッズやプラモデル、実写ドラマ、実写映画など新たなコンテンツ展開の場を求めて奔走します。しかし、作品人気が出ない場合は手を広げた分リスクが伴ってきます。出資した会社に利益が出るかどうかが成功か失敗かのボーダーラインと言えますが、出資して作り、広告した作品の出力先が無料のアニメ放送と、そのDVD・Blu-rayパッケージ、もしくはラノベやコミックの購買本数ということになってくると、パッケージの売れ行きが落ちている関係上、出資した金額を回収できず赤字になるという状況が続くようになってきました。これではいけないと次にカラオケやカフェなどの飲食店展開で、コンテンツそのもの食欲などと絡めて付加価値をだし、お客の入り=資金回収につながるという方向性に進みました。しかし、その分物理的な「食べ物」や「店舗」に縛られてしまうのと、コンテンツそのもの以外の仕入れと一般的な「食」への価値基準よりも高い価格設定にしていく必要が出てきて、瞬間的な収益は上がりますが手間とそれを展開できるリミットを考えるとそこまでいい展開方法とは言えなくなってきているのが正直なところです。
コンテンツをIPとして売る
そうしたユーザー向けコンテンツ展開を、製作委員会に入っている制作会社自らが行うことにより、露骨にコンテンツ自体の質を落としてしまうと言う事態も発生し始めてきました。売れなかった時のリスクを考えて、あるいは店舗展開などを見据えて資金を残しておくために最初の制作の予算を切り詰めるという方向性に向かってしまい、結果的に質が落ちてしまい人気が出づらくなるという悪循環になってしまうのです。これを防ぐために、市場は市場でもメディアを変えるだけで無く、売り先を根本的に変えるという試みが最近成されています。その一端が遊技機です。今までのメディアミックスは漫画やアニメファン層の人気が起点での横展開でしたが、遊技機展開に関してはアニメや漫画ファン層とは全く関係ない位置にいる遊技機ファン層に、IPの持つテーマ性を演出として与えることによって新たな顧客層をつかむことに成功しました。遊技機のファン層はアニメや漫画そのものが好きなわけではありませんが、分かりやすく楽しみ、盛り上がれる演出としてアニメ・漫画原作ものを受け入れました。
また、展開はメディアにとどまらず国をまたぐということもしばしば行われるようになってきています。最初の出資の座組に既に海外展開を入れていくと言うことが珍しくなくなってきています。そうすることによって、国内で固定ファン層に売るのではなく海外にまで手を伸ばし、現地に新たなファンを育てることが出来るのです。そうすると、もはやアニメ原作・漫画原作を展開するのでは無く、アニメ・漫画になりうるIPに参画して一緒に原作を作り出していくという方向性になっていきます。ファン層とは別の所に売り出していったり、国を変えることによって、原作優位ではなく顧客優位。その商圏・国の人の文化にとって受け入れやすいストーリーである必要があり、原作が確立していて著作権があり、改変が難しいものだと展開事態が難しくなってしまう状況に来ているのです。つまり、出資者によって各メディアごとに原作が作られる、新しい動きに変わってきているということです。
原作の展開権と利益を分配するメディアミックスから、IPを分配して原作を各方面各々作り、その権利をそれぞれ持つことによって、展開先のしばりはなくなり、より自社のIPとして育てていく意識も生まれます。いうなれば、キャラクターは同じでも全く展開もストーリーも違うパラレルワールドがメディアごとに展開されるのです。あえて名付けるならパラレルミックスとでも呼ぼうかと思いますが、あくまでまだこの展開に名前は付いていません。原作のしばりなく、コンテンツをIPとして捉え、キャラ人気で展開していけるこの手法は今後広がりを見せていくと思います。それと同時にまた新たな問題にも直面していくはずなので、今後も動向を見つめていく必要があります。
漫画原作・ラノベ原作のアニメ化・ゲーム化は、ヒットコンテンツの条件で有り、漫画家だったらアニメ化は一つの成功の基準です。アニメ化を経てゲームにまでなれば「人気の作品なんだ」という認識が社会的に顕在化します。このように原作ものを横展開し、新たな顧客層を得て新しい展開をし販促活動を広めることをメディアミックスといいます。日本の最初のメディアミックスは1973年に発表された小松左京の小説『日本沈没』です。映画、テレビドラマ、ラジオドラマ、漫画と、小説発売と同時に各メディアで展開されたことが話題を呼びました。この記事を見ている人は2006年に草彅剛主演で映画化された方の方がなじみがあるかも知れませんが、少なくとも十数年越しにリメイク制作されるほどに当時話題を呼んだと言うことです。アニメゲーム系のメディアミックスでの代表的な成功作は『スレイヤーズ』で、これはラノベ原作でしたが、同時にアニメ、漫画、映画、イベント、ゲームをほぼ同時進行させて各メディアで新情報を供給し続け長期的な人気を得たという事例があります。その後はアニメ業界で本格的に製作委員会方式が採られるように成り、アニメを軸に各業界各出資者がリスク分散と利益の分配のために各自社メディアでも宣伝するようになり結果的にメディアミックスの形になっていくという状況に移行してきました。
メディアミックスの問題点
うまくいけば利益が分配でき、万が一うまくいかなくてもリスクが分散できる製作委員会方式は瞬く間にアニメ業界に広がりました。しかし、一定の広がりを見せたものが次に直面する問題は、一般化です。最初こそアニメのリスク分配をしつつ横に広げて露出を増やせるメリットがフォーカスされていましたが、その露出を増やした作品自体が多くなっていくと、いつしかそれは当たり前の物になってしまいます。1点ものしかない集合の中に、たくさんのメディア展開を持っている1つが入ることによってそれが目立ってはじめて効果を現すものにも関わらず、全ての作品が各メディアで宣伝を始めてしまうと、今度は更なる展開をしていかなければ埋もれてしまうという状況に陥ってしまいます。
アニメ化、ゲーム化、漫画化だけでは足りないと感じた製作委員会では、グッズやプラモデル、実写ドラマ、実写映画など新たなコンテンツ展開の場を求めて奔走します。しかし、作品人気が出ない場合は手を広げた分リスクが伴ってきます。出資した会社に利益が出るかどうかが成功か失敗かのボーダーラインと言えますが、出資して作り、広告した作品の出力先が無料のアニメ放送と、そのDVD・Blu-rayパッケージ、もしくはラノベやコミックの購買本数ということになってくると、パッケージの売れ行きが落ちている関係上、出資した金額を回収できず赤字になるという状況が続くようになってきました。これではいけないと次にカラオケやカフェなどの飲食店展開で、コンテンツそのもの食欲などと絡めて付加価値をだし、お客の入り=資金回収につながるという方向性に進みました。しかし、その分物理的な「食べ物」や「店舗」に縛られてしまうのと、コンテンツそのもの以外の仕入れと一般的な「食」への価値基準よりも高い価格設定にしていく必要が出てきて、瞬間的な収益は上がりますが手間とそれを展開できるリミットを考えるとそこまでいい展開方法とは言えなくなってきているのが正直なところです。
コンテンツをIPとして売る
そうしたユーザー向けコンテンツ展開を、製作委員会に入っている制作会社自らが行うことにより、露骨にコンテンツ自体の質を落としてしまうと言う事態も発生し始めてきました。売れなかった時のリスクを考えて、あるいは店舗展開などを見据えて資金を残しておくために最初の制作の予算を切り詰めるという方向性に向かってしまい、結果的に質が落ちてしまい人気が出づらくなるという悪循環になってしまうのです。これを防ぐために、市場は市場でもメディアを変えるだけで無く、売り先を根本的に変えるという試みが最近成されています。その一端が遊技機です。今までのメディアミックスは漫画やアニメファン層の人気が起点での横展開でしたが、遊技機展開に関してはアニメや漫画ファン層とは全く関係ない位置にいる遊技機ファン層に、IPの持つテーマ性を演出として与えることによって新たな顧客層をつかむことに成功しました。遊技機のファン層はアニメや漫画そのものが好きなわけではありませんが、分かりやすく楽しみ、盛り上がれる演出としてアニメ・漫画原作ものを受け入れました。
また、展開はメディアにとどまらず国をまたぐということもしばしば行われるようになってきています。最初の出資の座組に既に海外展開を入れていくと言うことが珍しくなくなってきています。そうすることによって、国内で固定ファン層に売るのではなく海外にまで手を伸ばし、現地に新たなファンを育てることが出来るのです。そうすると、もはやアニメ原作・漫画原作を展開するのでは無く、アニメ・漫画になりうるIPに参画して一緒に原作を作り出していくという方向性になっていきます。ファン層とは別の所に売り出していったり、国を変えることによって、原作優位ではなく顧客優位。その商圏・国の人の文化にとって受け入れやすいストーリーである必要があり、原作が確立していて著作権があり、改変が難しいものだと展開事態が難しくなってしまう状況に来ているのです。つまり、出資者によって各メディアごとに原作が作られる、新しい動きに変わってきているということです。
原作の展開権と利益を分配するメディアミックスから、IPを分配して原作を各方面各々作り、その権利をそれぞれ持つことによって、展開先のしばりはなくなり、より自社のIPとして育てていく意識も生まれます。いうなれば、キャラクターは同じでも全く展開もストーリーも違うパラレルワールドがメディアごとに展開されるのです。あえて名付けるならパラレルミックスとでも呼ぼうかと思いますが、あくまでまだこの展開に名前は付いていません。原作のしばりなく、コンテンツをIPとして捉え、キャラ人気で展開していけるこの手法は今後広がりを見せていくと思います。それと同時にまた新たな問題にも直面していくはずなので、今後も動向を見つめていく必要があります。
このブログを書いた人
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大山 莉加執行役員 » 詳細プロフィール
ラクジョブ運営会社ビ・ハイア株式会社のBLofBLにして、千葉出身の東京都港区民。肉食系女子に見せかけたBL。BL好きのコスプレイヤーと思いきや日本で最もアニメゲームマンガ業界の案件情報、ビジネスマッチングに優れてるのでは・・・と思わせる情報量。彼女のおかげで倒産の危機を乗り切ったり、突然ラインが空いた!!という悲劇を乗り切ったアニメゲームマンガ業界の社長も多い。