2016.03.25 ソーシャルゲームアプリ ガチャ 自主規制へ 新ガイドライン発表で揺れる業界
課金上限額5万円と決定
朝日新聞の記事によると、スマホ ソーシャルゲームでの高額課金が問題になっている「ガチャ」について、「日本オンラインゲーム協会」は24日に、課金上限額を5万円とし、当たりの確率を明示することなどを柱とした自主規制をまとめ、「日本オンラインゲーム協会」の加盟社だけでなく、主要なソーシャルゲーム事業者が参加するモバイル・コンテンツ・フォーラムにも順守を求める決定を行いました。年末年始に『グランブルーファンタジー』で行ったイベントでは、「70万円以上購入しても当たらない」という苦情が消費者庁に多数寄せられており、業界の専門家からは「射幸心をあおり、法規制が必要」という批判も出ていた関係で、23日の国会でも「オンラインゲームが成長するのであれば業界がどう自主規制を行うのが筋だが、その自主規制が抜け穴だらけであれば法規制はあるべき」との答弁を消費者庁が行っていました。「未成年が我々の常識をこえた金銭をオンラインゲームにつぎ込んでおり、もはや自主規制の段階ではなく消費者庁として規制に乗り出すべきと考える」といった発言もあったため、消費者庁の規制が決定し業界全体の身動きが取れなくなってしまう前に自主規制として「日本オンラインゲーム協会」が動いたという流れのようです。
改正したガイドラインの概要は
改正したガイドラインによると、
①ガチャで希望するアイテムを得るまでの総額は1回あたりの課金額の100倍までで、上限額は5万円
②アイテムは種別に当たる確率を明示
③社内に運用責任者を定めアイテムの確率設定などを記録に残す
などとし、4月から実施予定です。
運用スタッフはイベントごとに逐一記録を残し、当たり確率を明示した上でガチャをリリースし、イベント期間にもよりますが目玉アイテムを明示した1ガチャごとにイベント期間中上限5万円までしか課金できないシステムに変更と言うことになります。もしイベント期間が1週間だとしたら、1ユーザー当たりの課金額=売上上限が5万円ということになり、スマホゲーム業界から見たら大きな売上減につながってしまいそうです。
ガチャ上限が来てしまったら
ガチャをたくさん回すユーザーからしてみたら、5万円上限まででお目当てのキャラが出てしまったらイベント期間中、そのガチャにはノータッチになってしまうので、運営元としては他に手を打つ必要があります。考えられる施策としては、同一イベント期間中に複数ガチャを用意することや、ガチャ以外の課金要素の実装、イベント期間自体のサイクルの短縮です。いずれにせよ、いままでガチャ主体で売上を立ててきたスマホアプリ事業者にとっては大打撃となります。今後業界を挙げてユーザーの満足度を下げずにガチャ以外で遊んでもらえる新しい仕組み作りに取り組んでいく必要が出てきます。人材はアプリプランナー、運営スタッフなどの需要が増えていきそうです。特に、上述したような施策を打つとしたらイベントのスパンを短くして大量に投下するのがシステム上では一番負担無く行える施策なので、イベント運営のプランニングと運営の仕事は格段に多くなりそうです。
今回のこの発表は前述の通り消費者庁が動き出す前に自主規制として発表されたガイドラインのため、強制ではないものの業界全体として取り組んでいる姿勢を見せなければ更に厳しい本規制が消費者庁から発表され身動きが取りづらくなってしまう可能性もあります。業界全体として相互に確認、遵守の方向性で進めて行くほかありません。何より、5万円までの課金でSSRキャラまでゲットできるようになるとするとゲーム自体のパワーバランスも考えてメンテナンスしなければならなくなりますし、最初の頃はガチャでいいアイテムがとれて喜んでいたユーザーも、同じような強さのユーザーがごろごろ増えだしたらおもしろさを感じられなくなって行ってしまいますので、調整には細心の注意が必要です。施行まであと5日ほど。業界内での情報交換・意見交換が必要になっていきそうです。
このブログを書いた人
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大山 莉加執行役員 » 詳細プロフィール
ラクジョブ運営会社ビ・ハイア株式会社のBLofBLにして、千葉出身の東京都港区民。肉食系女子に見せかけたBL。BL好きのコスプレイヤーと思いきや日本で最もアニメゲームマンガ業界の案件情報、ビジネスマッチングに優れてるのでは・・・と思わせる情報量。彼女のおかげで倒産の危機を乗り切ったり、突然ラインが空いた!!という悲劇を乗り切ったアニメゲームマンガ業界の社長も多い。