2017.08.06 【大山のBL語り】第18回『VOID』座裏屋蘭丸
※ここからは完全に趣味です。
◆『VOID』座裏屋蘭丸
http://amzn.to/2wwD93X Amazonよりあらすじ引用
—
刷り込まれた記憶を、愛は、超えることが出来るのか ――。マキの元にやってきたヒューマノイドのアラタは、容姿と記憶の一部をコピーしたハイスペックな【愛玩タイプ】。しかも最初に見た人間を好きになり依存する【すりこみ機能付き】。すりこみ機能により愛情を示すアラタを、マキは嬲るように抱く。 「ちゃんと愛して欲しい」とアラタは涙目で訴えるが、マキの心には決して融けない「永久凍土」があり……。
雑誌「BE・BOY GOLD」連載+大量描き下ろしを収録! 官能描写の名手が創る作品世界、必見です。
※本書は紙本「VOID」(完全受注生産につき完売しております)を電子配信用に再編集したもので、収録作品は同じです。
—
男性型愛玩用ヒューマノイドものってBL業界では割と昔からあるテーマなので、
結構傾向的にはギャグエロと言うか、企画ネタものに走っていることが多い印象で、
オチも見えてしまうのであまり読んでこなかったのですが、これは別格です。
圧倒的なストーリー力、作画力で、どんどん場面の中に引き込まれていきます。
ストーリー全体に、深く冷たい悲しみの川が流れている感じがして、
ずっと足元が寒く、マキの館は広く無機質で、無邪気にマキに好意を示すアラタだけが異質です。マキに対して素直で、それこそ親鳥のあとを追う雛鳥のように寄り添うアラタは
かわいいけれど、マキにとっては2つの意味で紛い物でしかない。
「また」好きになってしまったら、「また」失うのか。それが、怖くて仕方ない。
記憶に縛られ、過去に生きていたマキの元に現れたのは、過去の記憶を体現したような
地雷付きの面影。共通点を探しては苛立ち、心かき乱されて、いつの間にか異なった点を
見つけるたびにホッとしている自分に気づいて意識し始めた頃には、
最初の頃の自分の過去に囚われたフェアでない行いを償うこともできないと、後悔に苛まれるマキが切ないです。
「VOID」忘却。
このタイトルに含まれた意味を、1冊全部読んでようやく我々は理解することになります。
忘却は悲しいことのような印象がありますが、新たな一歩を踏み出させてくれるきっかけでもあります。
マキが忘却の彼方に置いて氷漬けにしてしまった心の永久凍土が溶ける時、
その下にあるものがどんな状態なのかは、本人にもわかりません。
だから怖い。溶かしていいものか。以前とは違った醜いものになってしまっていたら
受け入れてもらえるのか。
それでも、それでも。小鳥が運んでくれた新芽が育っていて欲しいと、願わざるを得ないのです。
もう、ストーリーがいちいち重要なポイントでネタバレになってしまう恐れがあるので
こんな抽象的な文章しか書けないのには理由があります。
実はこの本、紙媒体版は豪華本でAmazonでも9000円ぐらいします。
でも、ここのリンクに貼ってるようにkindle版972円(約10分の1!)
と言う慈悲が出ていて、中身の漫画だけちゃんと堪能できるようになっているので、
ぜひ電子媒体でいいからこれは絶対読んで欲しい。
BLと言う枠を超えた、目にも心にも響く芸術です。
◆『VOID』座裏屋蘭丸
http://amzn.to/2wwD93X Amazonよりあらすじ引用
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刷り込まれた記憶を、愛は、超えることが出来るのか ――。マキの元にやってきたヒューマノイドのアラタは、容姿と記憶の一部をコピーしたハイスペックな【愛玩タイプ】。しかも最初に見た人間を好きになり依存する【すりこみ機能付き】。すりこみ機能により愛情を示すアラタを、マキは嬲るように抱く。 「ちゃんと愛して欲しい」とアラタは涙目で訴えるが、マキの心には決して融けない「永久凍土」があり……。
雑誌「BE・BOY GOLD」連載+大量描き下ろしを収録! 官能描写の名手が創る作品世界、必見です。
※本書は紙本「VOID」(完全受注生産につき完売しております)を電子配信用に再編集したもので、収録作品は同じです。
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男性型愛玩用ヒューマノイドものってBL業界では割と昔からあるテーマなので、
結構傾向的にはギャグエロと言うか、企画ネタものに走っていることが多い印象で、
オチも見えてしまうのであまり読んでこなかったのですが、これは別格です。
圧倒的なストーリー力、作画力で、どんどん場面の中に引き込まれていきます。
ストーリー全体に、深く冷たい悲しみの川が流れている感じがして、
ずっと足元が寒く、マキの館は広く無機質で、無邪気にマキに好意を示すアラタだけが異質です。マキに対して素直で、それこそ親鳥のあとを追う雛鳥のように寄り添うアラタは
かわいいけれど、マキにとっては2つの意味で紛い物でしかない。
「また」好きになってしまったら、「また」失うのか。それが、怖くて仕方ない。
記憶に縛られ、過去に生きていたマキの元に現れたのは、過去の記憶を体現したような
地雷付きの面影。共通点を探しては苛立ち、心かき乱されて、いつの間にか異なった点を
見つけるたびにホッとしている自分に気づいて意識し始めた頃には、
最初の頃の自分の過去に囚われたフェアでない行いを償うこともできないと、後悔に苛まれるマキが切ないです。
「VOID」忘却。
このタイトルに含まれた意味を、1冊全部読んでようやく我々は理解することになります。
忘却は悲しいことのような印象がありますが、新たな一歩を踏み出させてくれるきっかけでもあります。
マキが忘却の彼方に置いて氷漬けにしてしまった心の永久凍土が溶ける時、
その下にあるものがどんな状態なのかは、本人にもわかりません。
だから怖い。溶かしていいものか。以前とは違った醜いものになってしまっていたら
受け入れてもらえるのか。
それでも、それでも。小鳥が運んでくれた新芽が育っていて欲しいと、願わざるを得ないのです。
もう、ストーリーがいちいち重要なポイントでネタバレになってしまう恐れがあるので
こんな抽象的な文章しか書けないのには理由があります。
実はこの本、紙媒体版は豪華本でAmazonでも9000円ぐらいします。
でも、ここのリンクに貼ってるようにkindle版972円(約10分の1!)
と言う慈悲が出ていて、中身の漫画だけちゃんと堪能できるようになっているので、
ぜひ電子媒体でいいからこれは絶対読んで欲しい。
BLと言う枠を超えた、目にも心にも響く芸術です。
このブログを書いた人
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大山 莉加執行役員 » 詳細プロフィール
ラクジョブ運営会社ビ・ハイア株式会社のBLofBLにして、千葉出身の東京都港区民。肉食系女子に見せかけたBL。BL好きのコスプレイヤーと思いきや日本で最もアニメゲームマンガ業界の案件情報、ビジネスマッチングに優れてるのでは・・・と思わせる情報量。彼女のおかげで倒産の危機を乗り切ったり、突然ラインが空いた!!という悲劇を乗り切ったアニメゲームマンガ業界の社長も多い。